薬学基礎物理Part1 物質の体積と密度・比重

こんにちは、carbonです。

今回は物質の比重について解説していきます。

比重は薬品の抽出操作などの問題でとても大切な単元になります。しっかり学習しましょう。

比重の前に密度をおさえよう

比重を考えるうえで大切になるのは「密度」です。「密度」とは「一定の体積あたりの質量」。

物質によって密度は異なり、H2Oは多くの場合 1g/cm3となります。

比重ってそもそも何??

比重」とは、「ある物質の密度と同体積の標準物質の密度の比」です。

異なる2つの物質の質量を同体積で比べ、一方の質量値を 1 したときの質量の値です。

比重と密度はどう違う??

密度」は一定体積あたりの質量であるため、物質ごとに固有の値を示し、単位が存在するのに対し、「比重」は2つの同体積の物質を比べた比の値、すなわち標準物質の何倍の重さがあるかを表したもので、単位は存在しない。そのため、標準物質によって異なる値を示すという違いがあります。

実際に問題を解いてみよう

これまでの説明をふまえて実際に問題を解いてみましょう。

(1) 空重量1.000gの比重瓶に標線まで蒸留水を入れて重さを精密に量ったところ、2.500gであった。同じ比重瓶をよく乾燥させた後、物質A水溶液を同じ標線まで入れて重さを精密に量ったところ、3.250gであった。この物質A水溶液の蒸留水に対する比重はいくらか。小数点以下3桁で答えなさい。

(2) 空重量1.000gの容器に10.00mLの蒸留水を入れて重さを精密に量ったところ、11.00gであった。同じ容器をよく乾燥させた後、物質B水溶液を少量取って容器に入れ、重さを精密に量ると6.500gであり、同体積になるように蒸留水を加えて再度重さを精密に量ると8.500gであった。元の物質B水溶液の蒸留水に対する比重はいくらか。小数点以下3桁で答えなさい。ただし、蒸留水の密度を1.00g/cm3とする。

Point:比重は同体積で比べる。

(1) 蒸留水と物質A水溶液は両方とも標線まで入っているため、同体積であることが分かる。

2.500-1.000=1.500 (標線まで入れた蒸留水の質量)

3.250-1.000=2.250 (標線まで入れた物質A水溶液の質量)

この問題は蒸留水の質量を基準にした物質A水溶液の質量であるため、

2.250÷1.500=1.500

となり、物質A水溶液の蒸留水に対する比重は1.500であることが分かる。

(2) 蒸留水の体積は10mLであるが、物質B水溶液の体積が未知であることから同体積にして考える必要がある。まずはじめに、提示されている質量が何を表しているのかを考える。

【1】11.00g:蒸留水+比重瓶       

【2】6.500g:物質B水溶液+比重瓶

【3】8.500g:物質B水溶液+比重瓶+蒸留水

上記により【3】から【2】を引くことで加えた蒸留水の質量がわかる。

8.500-6.500=2.000 (加えた蒸留水の質量)

蒸留水の密度から加えた蒸留水は2.00mLであることがわかる。すなわち、物質B水溶液は8.00mL入っていることになる。【1】【2】の式を使って8.00mLの蒸留水と物質B水溶液の質量を計算する。

11.00-1.000-2.000=8.000 (蒸留水8.00mLの質量)

6.500-1.000=5.500 (物質B水溶液8.00mL の質量)

この問題は蒸留水の質量を基準にした物質B水溶液の質量であるため、

5.500÷8.000=0.6875≒0.688

となり、物質B水溶液の蒸留水に対する比重は0.688であることが分かる。

まとめ

いかがでしたか。

言葉の意味を理解することで応用が可能になります。ほかにも、「比旋光度」や「比熱」といったものもこれから先出てきます。「比~」は基準からの割合というイメージを持つことで非常に理解が容易になります。

比重に関する練習問題を作成したのでぜひ解いてみてください。

これからも薬学の勉強を一緒に頑張りましょう。

~練習問題作成中(近日公開)~

薬学分析化学
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